無職生活も、はや六カ月。そろそろ友人方面から「どうすんの?」「何がしたいの?」「いいかげんに働けよ!」などと詰められるケースも増えてきたが、なんでこんなに平気でブラブラしていられるのかというと、それは、私の師匠が木村純一(敬称略)だからだ。
知己を得て二十年。その頃から現在に至るまで、木村さんは札幌市南区の地下鉄自衛隊前駅あたりを居城に、ずーっとブラブラしている。そう、二十年もブラブラしているわけで、こんなおじさん、ほかにいますか?
と、ここまで書いて、若干語弊があるような気配を感じたので、ちょっとだけ説明を加える。
木村さんとサトウさん、クロダさんという青年三人は1982年から92年まで十年間にわたり、札幌市中央区で映画館「JABB70ホール」を経営していた。往年のサブカルクソ野郎だった諸兄姉は懐かしく思い出すかもしれないが、自分たちで選んだ映画を上映する二番館(あるいは名画座またはミニシアター)的な劇場で、当時の札幌におけるサブカル好きの拠点、あるいは情報サロン的な役割を果たしていた(んだと思う)。このあたり、インターネット登場前の世の中の雰囲気がつかめないと実感できなくなりつつありますね、恐ろしいことに。
「JABB70ホール」の面々は、普通に映画をかけるだけでは飽き足らず、トークショーを開いたり、実際に映画製作に参画したり、映画雑誌『BANZAIまがじん』を発行したりと、まあ好き放題やっていた(らしい)。楽しそうですね。ちなみにこのあたりの経緯を書いた本が二冊あります。
▲映画館創業メンバーの一人、黒田信一さんが書いた書籍でその歩みが紹介されています。ちなみに私は黒田さんを直接存じ上げません
▲下の「JABB中毒 秘造り地獄編」(マルコ出版社)の文庫版