ずっと前から行ってみたかった、年に2回のオタクの祭典「コミケ」こと、正式名称コミックマーケット90に初参戦! まあ実際は「さらっと様子を見てきた」という程度ですが、退職を契機にヒマにあかせて一般参加してきましたので、レポートを書いておきます。
~概要~
コミックマーケット90
●2016.8.12(金)~14(日)
●東京ビッグサイト
●入場者数 53万人
●参加サークル数 3万4千サークル
※コミックマーケット公式サイトより
「コミケ」といえば、1975年の初開催から四十年超の歴史を持つ伝統ある同人誌即売会。コミックマーケット準備会前代表の故米沢義博さんの本も読んでいましたし、マンガやアニメ、ゲーム、コスプレなどの主流ジャンル好きではないものの、文章系同人の端くれとしては一度は雰囲気を味わっておきたいなあというのが動機でした。
いやね、噂はかねがね聞いていたんですよ。気力・体力・装備を整えて臨まないと大変なことになるぞと。ネット上には無事生還するためのおそろしげな対策ページが並んでいますからね。
ゆえに週に3回の水泳で下半身を中心に鍛え直し、ベテランサークル参加者の後輩H先輩から薫陶を受け、前日はホテルでしっかり睡眠。当日は熱中症でぶっ倒れないように500mlのペットボトル二本を携行(足りなかったので3本目を現地で購入)し、速乾性Tシャツの予備も持ち、履き慣れた靴と帽子、首元を暑さから守るタオルを身につけるという念の入れようで臨みました。だって怖いんだって、四十超えてのはじめてのコミケなんだから。
初日はスルーし、2日目の開催となる8月13日(土)、10時半ぐらいに電車で現場着。第一印象は「やっぱ人、すげえ(量が)」。まず、10万人超をあのでかい東京国際展示場にスムーズに送り込むだけで至難の技でしょう。これをボランティアスタッフが仕切っているというところに感動。たとえば仕事として受注したイベント会社じゃ、ちょっと運営は厳しいでしょう。長年のノウハウと「この遊び場を守っていこう!」という心意気がスタッフに受け継がれているんですね。すばらしい!
●コミケの理念
~~企業、サークル、スタッフ、一般来場者も全て含めて参加者と呼ぶ。 これはコミックマーケットにおいて参加者は対等であり、「お客様」は存在せず、皆がコミックマーケットの参加者なのである、との理念からである。〜〜
つまり、コミケに「客」はいないと。全員「参加者」だと。じゃなきゃ無理だよ、あの規模は。
さてこの日は一般参加者の列につき、炎天下の巨大な港湾スペースに行儀よく並んで、ジリジリと進みながら1時間ちょっとで入場。場内では「何となく見て回ろうかなー」などと甘いことを考えていましたが、絶対無理! ブース間をつなぐ通路(ガレリア)は常に大混雑状態でどこかに向かって蠢いており、「このサークルのこの本を買うんだ!」という強い意志がないとたどり着けないですね、あれは。なのでみなさん、事前に行きたいサークルを入念にピックアップし、最適なルートを検討の上、自作のマップを作ったりして計画的に回っているようでした。甘かった。
▲この日のために鍛えてきたが、率直に言って地獄絵図! 入場することすら能わず。あー楽しい
▲この日はよきゅーんちゃんの生写真を2セット購入し、離脱。迷子が見つかると自然発生的に拍手が起こるのも本当でした
そして最終日となる翌8月14日(日)は、余裕を持って昼ごろに会場着。前日は場外を大きく迂回しての入場でしたが、誘導切り替え後だったため、正面からすんなり入れました。この辺はTwitterなどの情報がないと、初心者にはわかりませんでしたね。
▲コミケ準備会に敬意を表して、C90のカタログ(前日に買えばよかった。厚さ3cmで電話帳級の重さ。注意事項と各サークルの展示場所が小さくコマ割りで描かれたリストがずらりと載っている)と、COMIKET PRESS総集編7、はたらくおぢさん総集編1・2を購入
▲喜屋武ちあきちゃんの新刊と既刊コピー本を購入
~まとめ~
●印象としては、男性も女性も、20~30代の若い人が多かったように思います。友だち同士でつるんで、わいわいと楽しんでいる様子で、いい光景でした。休んでいたベンチで隣に座っていた若い女性も、気持ちの高ぶりを抑えきれなかったのか、戦利品を開いてチラ見してしまっており、微笑ましくてこちらも0.5秒ぐらい誌面を覗いてしまったのですが(失礼)、何と申しましょうか、肝心な交錯スポットがフワッと白くボカしてある、ある意味とても上品なマンガだったようにお見受けいたします。ニッポンの(オタクの)未来は(いろんな意味で)明るいぞ!
●かつて「暗い」「汚い」「臭い」「犯罪者予備軍!」(失礼)と蔑まれていた「おたく」は、この10年の間にすっかり一般化し、いまやかなり広いゾーンの人たちが何らかの「オタク」的要素を持ち合わせていて、まったく問題ないよーというレベルにまで敷延しています。自身もオタクであるアイドルが「オタク集まれ~」とファンに呼びかける時代ですからね(人称が変わってしまっている)。これもすべて、何らかのかたちでコミケ的文化の醸成に労を惜しまず取り組んできた先人たちのたゆまぬ努力と熱意のたまものかと思います。尊敬します。
●たとえば釣銭詐欺とか、ストーカーとか、爆破予告とか、犯罪あるいは犯罪めいた事件や出来事も起こるでしょう。そりゃそうだよ、50万人も来るんだから。当然ながら、我々が暮らす一般社会と同じレベル、同じ地平での荒ぶりはあるでしょう、それは。でも、それでも、それを踏まえた上で、受けた印象は「総じて善意の塊」。これはコミケの理念によるところが大きいでしょうし、若い参加者たちが率先してその意図を受け継いでいるところに独自性があるのかなと感服しました。
●よきゅーんちゃんと喜屋武ちあきちゃんの件については後日改めて説明します(笑)。
※「コミックマーケット」「コミケット」「コミケ」「C(90)」というさまざまな呼び名がありますが、基本的にはすべて同じで、私が今回行ったイベントを指します。たぶん。