アナタの住みたい世界(独身論)①「未婚」の正体

「誰よりも独身ついて考えている男」こと、独身日本代表のこのワタクシに対して「ノトくんもそろそろ結婚しなよー」と何ともお気楽に話しかけてくる既婚者(仮名Yさん/♀・50代)がいまだにいる。信じられない。ワタクシはそのたびに新鮮に驚いて、彼女の目をまじまじと覗き込むことになる。そして察する。「ああこの人、実際はオレが結婚しようが野たれ死のうが、どうでもいいんだよな。単に面白がってるだけで。話題がないから軽く振ってみてるだけなんだよ。そりゃそうか、そんなもんだよね~」

しかしながら、ちょっと考えてみて、こうも思う。「いや待てよ。もしかして、もしかしてだけど、Yさん、本心で結婚を勧めてきているのかもしれないぞ。純粋な親切心として、たとえば『この生ラム、マジでおいしいから食べてみなよ!』というのと同じ無垢な善意で、ググッと七輪ごとこちらに押し出してきているのだとすると……こりゃ大変だ。ヨシカさん、結婚がホントにいいものだって心から信じてる!」(あ、ヨシカさんって書いちゃった)

えーウソでしょー、独身の方が絶対にいいじゃん!!

という前振りをしたところで、ワタクシもすっかり大人になったので、今回はじっくり論を組み立ててみたい。

まず上記のエピソードの要旨をまとめるとこうなる。
ノトは独身で「未婚」だから、早く結婚して「既婚」になりなされよ。なぜなら結婚はとってもいいものだからだよー。

ここで云う「未」とは何か?
●ミ【未】①まだ。⇔既・完。[例]未完・未決・未納・未来。▷《接頭的》まだ…していない意。「ー発達(・承認)」②十二支の第八。ひつじ。[別音訓]ビ。いまだ・まだ・ひつじ
国語辞典《改定新版》監修 坂倉篤義・林大 1997年2月10日 第1版発行 講談社学術文庫1238

次に上記を踏まえて(ちょっと意地悪に)超訳してみるとこうなる。
独身のまま結婚していない「未婚」のノトは、未熟で未発達で未成熟で未来がないから、早く「既婚」になって(人として)完成しろ。あるいは爆発しろ。

つまりベースにあるのは、独身は人として「未完成」の状態であるという認識だ。わかるっちゃわかる。わかるんだけど、この前提に対する違和感がどうしても拭えないんだよなあ。
※現実的に「未婚者が増え続けている」という進行系のフィールドワークについては、ひとまずここでは置いておく。ちなみに最新の統計では「生涯未婚率は増加傾向に転じた」という観察結果もある)。

では、人として「完成」した状態とはなにか。もちろん「既婚」だよ、という論旨だ。だからお勧めだよと。ホント? ホントに本当?
注)ここで幸せ・愛・絆・心の支え・不安といった情緒面、将来の備えや世間体といった家族感や常識論、社会保証や人口問題・介護問題・世帯収入などの社会構造・制度について、道徳・宗教・歴史感、性欲や情愛にかかわる生存本能説、あるいは離婚・再婚・再々婚・不倫・W不倫・ゲス不倫・リア充対非モテの対立軸などに飛びついて、つらつらと論じるのはまだ早い。次回以降で各個分解していく。

さて念のため、誤解なきように申し添えておくが、現時点でのワタクシの立場は以下の通りだ。

未完成でも未成熟でもコミュ障でも非モテでも、あるいは大家族でも偽装家族でも疑似家族でもリア充でも、どんなかたちだってそのまんまで生きていけばいいじゃねえか。何も「既婚者は全員心を入れ替えて直ちに独身に戻れ!」とか、目くじら立てて極端なことを叫んでるわけじゃあないんだよ。ワタクシだって、友人が結婚すれば心から「おめでとう!」と祝福するし、友だちの赤ちゃんたちはめんこい。ただし心意気としては「ふざけんな、こちとら伊達や酔狂で長年『独身貴族』を名乗ってるわけじゃねぞ。とっくに『独身』のまま『完成』してるんだよ!」という気概も持ち合わせているつもりだ(大げさ)。要するにこういうことなんだ。

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ブコウスキー、最高!
ちなみにワタクシ、生ラムはかなり好きでよく食べます。