独貴亭日乗 伍

2016.11.17(木)

~三行まとめ~
●するはずないじゃん!
●オヤジ狩りが怖くて
●ガジェットのお勉強

2016年11月13日(日)に報道されたNHKスペシャル『終わらない人 宮﨑駿』を遅ればせながら視聴。炎上騒動を先に知ってしまっていたのでフラットな状態ではなかったものの「こういうことか」と納得しました。私の感想は「(あんな映画を作っちゃってる人が)引退なんてするはずないじゃん!」。

何度も引退→復活を繰り返す人がどのジャンルでも一定数いて、だいたい超一流なんだけど(断筆宣言の団鬼六、あとはAV女優も)、一流の制作者であればあるほど、己の業を自分で抑え込めるはずがない。あと悪いなあと思ったのが(優秀だなあという意味で)、長年の相棒であり伴走者である鈴木敏夫プロデューサーね。何とかして宮﨑駿を『再起動』させようと、あの手この手で焚きつけて(ドワンゴAIのシーンは仕込みでしょう、川上会長はジブリの社員でもあるんだから)、宮﨑駿もそれがわかっていながら自分が作りたい物を作るために乗っかってしまうという、もう骨がらみの共犯的な構図。ホントに『再起動』しちゃったら、鈴木プロデューサー自身がいちばん大変な目に合うのにねえ。映画づくりはそういった意味でもヤバい現場だということがつくづくわかります。

ちなみにガチのオタク系の重鎮たちは、あの番組をどう観たか。岡田斗司夫の「あの怒りは『宮﨑駿が順調に動き始めた作動音』」という解説がわかりやすかったです。

あと、AIの非人間性について怒っている人が多いけれども(確かに不快。アレを持ってっちゃダメでしょ)、ホントにヤバかったのはあの後のシーン。鈴木敏夫の「結局どこに向かってるの?」という問いに対し(悪い質問だなあ)、開発者が「人間が描くのと同じように絵を描く機械を作りたい」と答えてしまったところで、つまりあれって例えばAIが宮﨑駿の思考・思想・感情・想像力までをも学んでしまえば、機械で「ジブリ風」の作品を作れるんじゃね? と、本人の前で云っちゃってるからね。わざとでしょ、絶対。

機械に人間性を求めても初手からしょうがない気がしてますが、恐ろしいのは現状の進化ぶりを見ると「もしかしたら持っちゃうかもね、人間性」って部分かと。攻殻機動隊だ!