【レビュー】【ライブ映像】【動画】野暮を承知で

▲2016年5月7日 新宿LOFT 絵恋ちゃんワンマンライブ きみが展覧会を開いても

どうしても、何回見ても笑ってしまうので、ぜひ見てほしい!
同じ音楽畑でもジャンルはさまざまかと思いますが、この映像では二つの異なる文化がライブ会場で奇跡の融合を果たす画期的な瞬間が目撃できます。ただし、理解するには若干の補足が必要かもしれませんので、僭越ながら野暮ながら、以下、試みてみます。

〜バックグラウンド解説〜
私イチオシの地下アイドル・絵恋ちゃんが2016年5月に開催したワンマンライブの映像。実はアイドル界とバンド界は生息圏(ライブハウス)が一部カブっていて、実際に東京・大阪・名古屋あたりでは対バンすることもよくあるようです。

ですが、成り立ちから考えても文化圏は異なるわけで、客層でざっくり見るとバンド→バンギャ、アイドル→オタクという区分けになると。従って応援のスタイルも当然違ってくるでしょう。

●バンドの応援?方法モッシュ(激しいおしくらまんじゅう)、ダイブ(お神輿のように頭上に持ち上げられた状態で客席をうねうねと運ばれていく)ほか
※いずれも盛り上がりが最高潮に達した時に発生。危険がともなうため、会場や主催者側から禁止されることも。バリエーションとしては、演者が客席に飛び込んでしまう「ステージダイブ」、客⇔客の間で勝手に行われる「モッシュダイブ」、徒党を組んで客席内をぐるぐる周回する「サークルモッシュ」など。ただし一部のロック寄りのアイドル現場では、すでにこの手法を取り入れているケースも。客席に飛び込むアイドルもいます(笑)。

●アイドルの応援?方法ケチャ(ステージ上のアイドルに向かって両手をかざして祈りを捧げるような動作)MIX(リズムに合わせて叫ぶ口上)ほか
※インドネシア・バリ島に伝わる民族舞踏「ケチャダンス」がルーツとも云われる「ケチャ」には(本当です)、後ろ向きのブリッジ状態で行う「背面ケチャ」などのバリエーションが多数存在。また「MIX」はアイドルグループによって微妙に文言が変わるものの、基本的には「タイガー、ファイヤー、サイバー、ファイバー、ダイバー、バイバー、ジャージャー!」とタイミングを合わせて曲中に叫ぶというもの。日本語版「虎、火、腎臓、繊維、海女、振動、化繊飛除去!」やアイヌ語MIXも存在します。またこのほかにも、おなじみの光景としてサイリウムなどの光りモノを振ったり、好きなメンバーのソロパートで「推しジャン(ジャンプ)」したり、二人一組で一方を高く持ち上げる「リフト」をしたりと、さまざまな応援スタイルがありますが、危険性を鑑み、現場によっては禁止されている行為も。ちなみにこれらをひっくるめて「オタ芸」と呼ぶこともあるようですが、両手にサイリウムを持ち一糸乱れぬ統率の取れた動きで腕をぐるぐる回したりする例の「オタ芸」はすでにネタ化しており、それ自体が独立したパフォーマンスと化しているため、実際には現場ではもうあまり見かけません。だって彼らはすでにアイドルを見ていないですもんね。


〜ポイント解説〜
ここまでが前段。ようやくながら、今回ピックアップした映像の話に入ります。
この日のライブは二部構成で、第一部はアイドル現場らしいオケの生歌で、第二部が豪華に生バンドで、という趣向。絵恋ちゃんのファンはベテランの方が多いのか、静かに聴くところは静かに、盛り上がってほしいところは大いに盛り上がる、という空気を読んだ大人の嗜みが垣間見えます。

特に第二部の生バンドの場合、「MIX」や「ケチャ」などのいわゆるアイドル現場丸出しの応援はマナーとして控えるというのが、何となくの不文律になっているようで、皆さん、手拍子や手を振る程度に自重しています。バンドのメンバーさんに気をつかっているわけですね。紳士的。

なんですが、2:17!
ちょうど落ちサビのところで!!

なにやら客席がモゾモゾしていたかと思うと、前列のグループが力を合わせてTO(トップオタ)と思しき一人の男性を「リフト」。ステージ上の絵恋ちゃんの目線と同じ高さに達した彼は、まさに目前で全力&単独の「ケチャ」を敢行! これには絵恋ちゃんはもとより、バンドメンバーも客席も思わず笑っちゃってますし、なぜか会場内がほっこりとした謎の一体感に包まれることに。そうです、この瞬間、バント+アイドルの応援シーンにおいて、ジャンルを超えた奇跡の文化的融合が果たされたのです!!

さらに続きがありまして、一瞬ちょっと戸惑った様子を見せた絵恋ちゃんですが、さすがに百戦錬磨、歌いながら前に乗り出してTOの額をグイッとツッコミ風に押し込みます。すると彼はそのままバンド系応援でおなじみの「ダイブ」状態に移行。いや移行しようと客席のみんなが頑張るんですが、何と申しましょうか、立派な体格をなさっていることもあり、かなりムリがある事態に。いやいやムリしないで!!