【レビュー】【師匠】【木村純一】【BANZAIまがじん】余生。

その頃の木村さんは、考えてみると今の私と同じ四十代。何をしていたかというと、1)駄菓子屋を開くも半年で飽きて閉店、2)中古の8mmカメラや機材を買いつけて修理して販売(古物商の免許を持っている。また早くからネット通販も手がけていて今も営業中)、3)ラーメン店のフロア係、4)アニメやゲームのフィギュアを仕入れてヤフオクで転売、5)新聞や情報紙にエッセーを執筆、6)役者として映画に出演、7)ボクシングジムに通う、など。まあトータルでひっくるめると、8)酒を飲む、ということになるわけで、云っちゃあ悪いけれども、完全にブラブラしてるでしょ、コレ。

弟子である私が知っている(つまり映画館をたたんだ後の)木村さんは、意図的に「余生」を過ごしているとしか思えない節がある。日々をその場限りでうっちゃっているように見える。

その理由は、ずばり「映画がすべて」だから。
木村さんはきっと、映画が好きすぎるあまり、映画以外の、たとえば「暮らし」や「人生」みたいなことは、正直どーでもいいと思ってるんじゃないかな。

現在のように、DVDやブルーレイがあまねく普及しておらず、配信インフラも整っていなかった時代、要は簡単に作品を見返せなかった頃の若かりし木村さんは、ものすごい集中力で、覚悟を決めて映画を見ていたんじゃないかと推察する。裂帛の気合い。対決だ。そのぐらい木村さんにとって「映画」は「人生」そのものであり、「映画」(的な事象すべて)が存在しないなら「人生」なんて本質的にはどーでもいいのであり、そういえば木村さんの「人生」はまるで「映画」みたいだ。ずっとカメラが回ってるような気がする。

だから私は、映画が好きすぎて人生を棒に振っちゃった人(ド失礼)を実際に知っているので、とてもじゃないが「映画鑑賞が趣味なんですよ~」などと軽々しくは云えない。時々、若い子が軽いタッチで木村さんに映画の話題を振るシーンに出くわすが、「よくもまあ、そんな恐ろしいことを……」と信じられない心持ちでその場に立ち合うことになる。まあ、木村さんは普通に答えるんだけども、つまりは「人生をぶっこわすぐらいの恐ろしい魔力を持つモノなんだ、映画ってのは!」と私は常々考えているのである。いや我々は別に、映画なんて好き勝手に見て、やいやい云えばいいんですけどね。


余談っぽいが、先日書いた狩猟する男たちとほとんど同じテンションで映画が好きすぎる木村さんは、だからこそ文字通り、老若男女にモテてしまう。ホントなんだ、コレが。「何かに人生賭けてる感」が出てる男は、古今東西、やっぱりモテるんだなあ。わかる気がする。

そんな木村さんファンのために一応報告しておくと、長い余生を送り続けているとはいえ、当人はすこぶる元気だ。地下鉄南北線「自衛隊前駅」から徒歩3分の駅前にある「中華そば 真壁六郎太」(札幌市南区澄川3条6丁目3-3 じょうてつドエル真駒内1F)の隣に事務所を構えているので、会いたい方は行ってみてください。ただし最近は「お孫さんと遊ぶ」という最重要ミッションに全力を注いでいるため、ほとんど不在(なんだこの正しいおじいちゃんは! 私が考えるに、木村さんにとっては孫と遊ぶのも「映画」の一種であり、同じ地平の行為なんである)。事前のお電話を忘れずに。


なんか流れでイイ話っぽくなってしまったのが癪に触るので書いておくが、尊敬はしているものの人格的にはほぼ崩壊している師匠は、私の原稿料を使い込んで酒を飲んでしまったり、「あーヒマだなー。ノトが死ねば、ちょっとは面白いのになあー」と不意につぶやいたりする。ヒドくないですか? しかしながら弟子である私は甘んじるしかない。

はたまたこんなことも云う。
「ノトもなあ、不倫ぐらいしないとダメだわ。不倫して『うわーっ』で泣きわめいたり、走ったりしないと!」

「はあ? なんだそのダメ出し。このおじさん、何云っちゃってんのかな?」と内心思うわけだが、素直な弟子であるところの私は、爾来「不倫をしなければ、いい文章は書けないんだ……」と思い詰めてきた。ただ残念なことに、私の個人的なテーマが「独身」のため、ペアリング的にはどこかの嫁をやっつけるしかない(婿でもいいのかもしれないけれども)。そして現状、いかんせんオノコとしての器量と熱量が足りず、甚だ不本意ながら事に至っていない。無念だ、弟子として。


▲師匠こと木村さん(左)と、不肖の弟子こと私/2016.7.24「能登亨樹44歳~退職記念感謝祭~」会場にて


というわけで、次はいよいよ本丸、「独身」と「不倫」について論じてまいります(笑)。