4)花村萬月『守宮薄緑(やもりうすみどり)』

1999年に発表された密度の濃い短編小説集。冒頭に収録されている「崩漏(ほうろう)」が、いつまでも頭に残る出色の出来。ミステリかと言われると、うーんどうなのか。だと思う。とにかくいい小説です。
5)江戸川乱歩『江戸川乱歩傑作選』

▲私が持っているのは、新潮文庫版(初版昭和三十五年)の平成三年発行第五十一刷! いろんなバージョンがあります
みんな大好き乱歩先生は、小説としてはこれ一冊読めばOK(暴言)。「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」「屋根裏の散歩者」といった初期の代表作が収められています。大人になってから読み返しても、また面白いですよ。
本人は一貫して「本格ミステリ」志向だったと思いますが、乱歩ならではの持ち味にドライブがかかるのは何と言っても「人間椅子」「芋虫」「陰獣」などの屈折した「変格ミステリ」だという矛盾。西洋探偵小説の紹介、国内作家の発掘、推理小説業界の普及といった功績があまりにも大きい反面、戦後の少年探偵団シリーズについては、うんまあ、アレです。
かなり変わった人だったようで、自らに関するあらゆる記録をすべて蒐集するクセがあり、「貼雑帳(はりまぜちょう)」「貼雑年譜」と呼ぶ独自のスクラップブックを残しているため、のちの愛好家・研究家がその研究素材に困らないという、幻影城に迷い込んだような事態に陥ります。
私が好きなエピソードは、戦時中は町会の活動を熱心に行っていたり、一転して終戦を迎えると「やったー! これで大好きな海外の探偵小説を心おきなく読めるし、気兼ねなく書ける!!(意訳)」と喜んでいるところなどです。
▲光文社文庫版の江戸川乱歩全集より『探偵小説四十年(上・下)』『わが夢と真実』。ヒドイでしょ、この厚さ。私は読んでてすげえ楽しいんだけど、ススメはしません
あのーちなみに、伊坂幸太郎や横山秀夫、佐々木譲なども愛読していますが、まあ今さら紹介しなくても大丈夫ですよね、うんうん。
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