【狩猟サミット】講演採録(参考)

●対談採録 ※文中敬称略。
【わな猟師・千松信也 × 久保俊治】

千松 みなさんおはようございます。ちょっと声がかすれていますけれども、みなさん、よく眠れましたでしょうか。久保さん、今日はよろしくお願いします。

久保 いえいえ、こちらこそ。

千松 僕は京都で「くくりわな」というわなでシカとかイノシシを獲っていまして。みなさんご存知でしょうけども、わなでのクマの捕獲はダメです。さらに京都はクマが少ないんで、そもそもダメなんですね。また僕は鉄砲を持っていない、危険じゃない安全な人なんですけども、そういう意味では共通点は少ないと思います。ただ日本にはいろんな気候、地形、スタイルの狩猟があるということで、共通点もあると思いますし、今回僕が久保さんと特に喋りたいなと思っているのは、サミットのテーマが「次世代にどうつなぐか」ということなんですけれども、僕には9歳と6歳の男の子がいまして、自分の子どもたち、もしくは自分のところに来る子どもたちにどうやって伝えていくか。自分が親からどういう風に伝えられてきたのか、そんな話が聞けたらなと。

クマとのかかわりで言うと、ミツバチを飼っていて、何回もクマにやられてる。夜の8時ぐらいにガガガッと音がして、家の裏や前の巣箱をくり抜かれて持って行かれてる。さっきハエたたきの話がありましたけど、クマのほかにも、本州だと熊蜂というスズメバチがめっちゃくちゃ襲いに来ます。それを普通はバドミントンのラケットでたたくんですけど、周りにいるハチも犠牲になる。僕が最近やっているのは、鉄のフライ返しで、平べったい部分を縦にして、たたいた瞬間にスズメバチを切断するという。スズメバチがミツバチを狙ってブーンとホバリングしているところを、パチッとたたいて。それをずっと、朝と昼と夕方に日課のように毎日やっています。

それを子どもたちに見せた時の反応が違う。「猟欲」というか、長男はぜったいにやらないです。次男はすぐに「貸して貸して!」ってやりたがる。危ないからせめて網被れって言うんですけど。それは大人でもそうで、猟をやる能力がある奴はとりあえず貸せって。普通は怖がるんだけど、とりあえずやりたい。ちょっと人格的に問題がある(笑)、ということじゃないんですけれども、そういう「猟欲」みたいなものについて、さっき久保さんは20歳になってからじゃ遅いって言ってたんですけども、そういうのをたとえば娘さんが実際に猟をされている中で感じますか。

久保 そうですね、武器が好きだったり、「猟欲」というか、そういうものに興味のない人は、なんぼ教えてもダメです。形だけで終わってしまう。

千松 二人のお子さんを育てて、違いを感じたりしました?

久保 両方とも同じように育てたんですけど、やっぱり性質の違いが出てくる。二人とも山が好きで、山慣れはしているんですけども、一人は街場の生活、もう一人の残ってる方は山の生活ですから。だから昨日も風が吹いて、牛舎から馬が出ていってしまったんでしょうね、暗い中に。どこで風を避けているのか、その天候だとどういう所に逃げているのか。そういう部分が気になったり、気がついたりすること自体が猟とかなり関係があると思います。

千松 僕の父親は兼業農家で、そもそも住んでいた兵庫県の伊丹は山がないんで、親から習うということはなかったんです。たまたま京都の大学に行って、やりたいなと思った時にそういう師匠に出会って。久保さんの場合はお父さんから?

久保 まあ日曜ハンターではありましたけれども。子育てという観点から言えば、今の時代、なんでも「かわいそうだからやめなさい」って言うでしょう。虫を獲ってもね。私の場合は違ったんですよね。下の娘はキリギリスを獲るのが小さい時から本当にうまくてね。1リットルのペットボトルに二つも三つも獲るわけですよ。でも、それをやめなさいとは俺は言わなかったですね。だって、なんて言うのかな、人間は生き物を殺した数だけ成長するはずなんですよ、マトモな奴は。それを途中でやめなさいって言って、殺させませんでしょ。「可哀想だからやめなさい」って言うのは簡単だけれども、可哀想という根本的な意味は、可哀想なことをやってる人間が早く気づかないとダメなんですよ。それなら可哀想なことを小さい頃から手一杯やっておかないと、絶対に身につかないんですよ。20歳近くなってから、ペットボトルにびっちり獲ってたら、それは完全におかしいですからね(笑)。絶対そういうもんじゃないでしょ。成長期のある時期にしか子どもってそういう部分を発揮しないはずなんですよ。その時にやめなさいっていう大人はバカなんですよ。その本人が本当の意味で可哀想だ、じゃあどうしたらいいか、そこで考えさせる芽を摘まないってことなんですよ。だから殺すところを見せるのは、千松さんが言う通り、当たり前ですし。

千松 今のキリギリスの話で思い出したんですけど、子どもの頃、ある時期、赤とんぼを細い棒でたたき落とせた時、すごい感動して。棒だけで何時間もひたすら叩き続けたという。今はそんなことしないですけど、ほんとに今、久保さんがおっしゃられたことがあったなあと思って。それが今はスズメバチをたたいているわけなんですけど(笑)。それに通じるところがちょっとあるかな、と思ったりしました。

久保 そういうお話を伺っていても、千松さんはまったくのハンターなんですよ。山と都会が近いところで、わな猟と鉄砲が混在しているっていうのは、今、世界中でも日本ぐらい。これをしっかり守るためにどうしたらいいかってことは、みなさんでしっかり考えてもらわないと。